特集/コラム
「デコ」で日本のファッションを変える-上野発「デコクロ」部
ユニクロのアイテムをベースに、バッジやコサージュなど小物をコーディネートしたりアレンジしたりすることで個性的にユニクロを着こなす「デコクロ」(デコレーション・ユニクロの略)が話題になっている。ネットのコミュニティーサイトを通して全国各地に散らばる「デコクロ部員」たちは700人を突破、今なおその数を増やし続けている。今回は、「デコクロ」を発足させたメンバー、部長の本間園子さん、書記の鈴木清之さん、広報の小笠原侑子さん、林きょうこさんに話を聞いた。
世の中ユニクロばかり-それを逆手にとった
-まず、「デコクロ部」を始めたきっかけを教えてください。
左から林きょうこさん、鈴木清之さん
鈴木:本間さんの本業がスタイリストなんですが、前から「なんか楽しいことやりたいね」と話していました。そんな中、ユニクロばかりはやっていて普通のブランドがなかなか注目されない状況を感じていて、じゃあ逆にユニクロをベースになんかやったら面白いのかなと思ったのがきっかけです。
本間:“ファストファッション”や、“不況”という言葉ばかりが連日報道され、みんながそれに流されている気がしていました。それだったら、いかに個性を出せるかというのをデコクロの活動を通じて伝えられたらいいなと思っていました。
-「デコクロ部」の活動を始められたのはいつごろでしょうか?
左から小笠原侑子さん、本間園子さん
本間:昨年の12月です。現在(2009年9月)の部員数は750人ぐらい。「OCアイランド」というファッションと手芸に特化したSNSの中に「デコクロ部」というコミュニティーを作って活動しています。
-なぜユニクロをデコレーションしようと思ったんでしょうか?
鈴木:ユニクロは丈夫でシンプルなのでデコしやすいし、ヒートテックに代表されるような技術革新もあり、しっかりしたものづくりをしている会社です。野菜のようにかごに服を入れて買えちゃうようなすごく気軽な洋服だけど、自分らしく着こなすこともできます。
ライフスタイルを面白く-ファッションカルチャーとしてのデコクロ
-デコクロも新たなファッションとして市民権を得てきましたね。
鈴木:ファッションビジネス専門紙の1面コラムにデコクロが流行っていると書いていただいたときに、ネット発のファッションとして認知されていると感じました。ライフスタイルを面白くするコンテンツの一つみたいに思っていただけたらいいですね。
-デコクロをつくる上でこだわりはありますか?
鈴木:デコクロ部としては、あまりユニクロにはさみを入れない方向になってきています。
-それは?
本間:ユニクロにもデザイナーさんが沢山いらっしゃるので、その方々を尊重するという意味がまず第一。それと、最初はみんなリメークをしたがるんですね。けど以前、はさみをいれないデコクロをしてみて、「あ、こんなにバリエーションができるんだ」と感じました。レースを付けるだけ、ボタンの色を変えるだけでもその人らしくなります。
-初心者にもデコクロは簡単にできるのでしょうか?
本間:最初は「縫いものとか全然できません」と言う人も多い。そんな人に「縫わなくてもできるんですよ」「色付けるだけでこんなに変わるんですよ」ということを伝えると、その人の個性が出てきます。だんだん顔色も変わってきます。
おしゃれは自分でつくれる-ものづくりの重要性
-「デコクロ部」の活動を通して伝えたいことは?
小笠原:わたしはずっと手芸をやってきましたが、デコクロに出会って、おしゃれって自分で作れるんだというのをはじめて知りました。自分のものづくりの幅を広げることにも役に立つのではないかと感じます。
鈴木:僕は学生時代に服飾を勉強していましたが、手先が不器用だから作るのが嫌いなんです(笑)。だけどものづくりという分野、作るということ自体はなくなってほしくない。最近では手作りするより安いものがいっぱいあって、安いから1回着ればいいかなと思う人もいる。特に上野、御徒町、浅草あたりではものづくりをしている人が多いので、ものづくりの大切さを考えるきっかけの第一歩になってもらえたらうれしい。
-ファストファッションが全盛の今だからこそ、考えたいことですね。
本間:もちろんファストファッションがすべて悪者なのではなく、わたしたちの使い方次第だと思います。何でも簡単に手に入るけれども、それに個性をちょっとプラスすることもできる。それがデコクロの魅力です。700人以上も部員みんなが「デコクロ」をつくることで幸せな気持ちになれたらそれ以上にすてきなことはないですね。
デコクロの将来-お金には換えられないものを体験して欲しい
-「デコクロ部」の今後の目標を教えてください。
本間:一人ひとり、みんなが個性を持っています。その個性をファッションに落とし込んでいくのが一番の目標です。デコクロには決まりが何もないので、自分の得意分野や新しく見たものをデコクロを通じて人にアピールすることで、その人の自信にもつながると思います。
-ただのファッションという枠には収まりませんね。
本間:一つのデコクロ作品をつくる際にも、いろんな思い出とかエピソードがあると思います。そういう気持ちを大切にすることもデコクロの魅力の一つだと思います。
-デコクロの販売は行なわないのですか?
本間:知り合いにプレゼントする程度ですね。一つひとつの作品が世界に一つしかないので思い入れがあります。重要なのはお金での価値ではないので売ろうとは思いません。デコクロをつくることで、お金に換えられない作品づくりの楽しさや、充実した創作の時間を味わってほしいと思います。
-ありがとうございました。
[あとがき]
デコクロ部の部活動の拠点である林さんの店、東上野の「Coquette(コケット)」で行われた今回のインタビュー。ファッション、ものづくりに対する情熱がひしひしと伝わってくるデコクロ部員の皆さんのこれからに注目したい。
(インタビュー・文責:白川悦子、西田陽介/上野経済新聞)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://ueno.keizai.biz/column/9/trackback.html

