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エリア特集2011-01-28

加熱する上野ビジネスホテル事情(前編)宿泊ニーズの実態は?

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「三井ガーデンホテル」「ココ・グラン上野不忍」「スーパーホテル上野御徒町」、鶯谷には「カンデオホテル上野公園」など、2010年に入り上野地域に新たに誕生するホテルが増えている。以前から上野地域・特に昭和通り沿いには数多くのビジネスホテルが営業しており、他地域には見られないほどの集積を見せているものの、相次ぐ新規開業によって競争は激化の一途をたどっている。果たして、このニーズはどこから生まれてくるのだろうか?そして、どのような背景からこのような乱立状況が生まれたのだろうか?上野経済新聞では相次ぐビジネスホテル開業の実体に迫った。

■戦争で焼け残った駅前旅館から発展

 話を聞いた上野ホテル旅館組合長の古市光広さんは、生まれも育ちも上野という人物。

 古市さんは、「かつて『駅前旅館』と呼ばれていた旅館や旅籠などから発展し、多くの旅館・ホテルが誕生しました。東北本線の始発駅であり、交通の要衝だったことが要因ではないかと思います。戦時中も上野地域の空襲被害は比較的少なかったため、戦後も多くの旅館が残ったんです」とその由来を語る。

 最盛期には150軒以上ともいわれるホテル・旅館が上野・昭和通り周辺に軒を連ねていたという上野地域。現在でも、組合には38軒もの旅館・ホテルが加盟しているが、チェーン系列のビジネスホテルには組合に加盟していない店舗もあり、実際にはさらに多くのビジネスホテル・旅館が存在する。 もちろん、1軒あたりの客室数はかつてとは比べものにならないほどに増加しており、キャパシティーは年々増えつつある。

上野ホテル旅館組合長の古市光広さんは上野で生まれ育ち、上野駅前で「ホテル小松」を経営している。

■外国人観光客に活路

 古市さん自身、上野駅前で「ホテル小松」を経営しながら組合長を務めている。山手線の東側では東京駅と並ぶターミナル駅であり、各方面へのアクセスの良さから上野地域には一定のビジネスニーズがあるものの、景気の影響によってビジネスユースは減少傾向にあるという。

 そうした中、ビジネスホテルのニーズを支えているのがインバウンド需要と呼ばれる外国からの観光ニーズだ。確かに、スーパーホテルやココ・グランホテルなど、どのホテルでも外国人観光客へ向けてのサービスを展開している。三井ガーデンホテルでは4カ国語に対応した案内を取り入れており、ココ・グランホテルでは、日本風の畳部屋「ZEN」が好評だ。

 「フランス、イタリアなどのヨーロッパからの観光客がとても多い」と古市さん。「上野公園には美術館、博物館が集積しており、これは世界でも稀にみるほど。そして、上野寛永寺、東照宮という日本の伝統を体感できる場所があり、山から降りればアメ横の熱気もあります。成田、羽田両方から最短30分強で移動できる利便性も観光客にとっては魅力的」と、外国人観光客にとっての上野宿泊の利点を挙げればきりがない。「地下鉄に乗れば5分で浅草や秋葉原に出ることができるという観光に便利な立地も影響していると思います」とも。

 そんな古市さんが注目する新設ビジネスホテルは、上野駅前にオープンしたばかりの「三井ガーデンホテル」と池之端に8月に開業した「ココ・グランホテル」だという。「三井ガーデンホテルは245室という上野地域最大のビジネスホテルであり、オープン当初は低価格に下げています。ココ・グランホテルは女性客をターゲットに高い稼働率をたたき出しており、注目しています」と話す。そんな新しいビジネスホテルに対して、老舗ホテルも低価格戦略や、付加価値戦略を掲げるなど、競争はますます激化している。古市さんの経営するホテル小松でも全室和室という内装や従業員の英語対応によって、外国人観光客の人気を獲得している。

上野駅前にオープンした三井ガーデンホテルと女性客ターゲットのココグランホテル

■東京スカイツリー、パンダ、新幹線延伸…ニーズ拡大のチャンス到来か?

 新青森までの東北新幹線の延伸や、東京スカイツリーの完成、上野動物園のパンダ来園など観光需要のさらなる増大が予想される上野地域。

 古市さんも「スカイツリー~浅草~上野~秋葉原という導線が生まれるのでは」と期待する。国内観光客のみならず、海外観光客の取り込みのためにもやはりインターネットによる情報発信は不可欠だ。古市さんも「ここでしっかりと観光客を取り込むためには、グローバル化とIT化が欠かせません。現在私が経営するホテルでも、ネット上で32カ国に情報を配信しており、ツイッターを活用した情報発信も行っています」と取り組みを話す。しかし、どんなに新しい観光資源が増えても、やはり大切なのはおもてなしの心。古市さんも「どんなリサーチ結果を見ても外国人が日本へ観光に来る理由は『日本人の人間性』が上位に上がってきます。親切、思いやり、そういった日本人の心こそが一番の観光資源なのでは」と語る。

※後編(2月上旬公開)では上野周辺のホテル一覧を紹介※

■編集後記

国内外から多くの観光客が訪れる上野地域。ビジネスマンのためのインターネットサービスはもはや当たり前。現在では増加する外国人観光客に対応するためのバイリンガル表示や、英語接客までもがすでに当然のものとなりつつある。果たして、このビジネスホテル加熱状況が、未来の上野地域にどのような影響をもたらすのか。上野経済新聞では今後も引き続きこの状況を追っていきたい。

(文責:萩原雄太、西田陽介/上野経済新聞)

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