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インタビュー2015-09-04

「上野で何をしているの?」外国人旅行客に聞いてみた

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近年、日本の観光地では、中国人をはじめとしたアジア人の「爆買い」が話題となっている。2012年以降外国人観光客数が年々増加しており、2014年には約1,340万人が訪れた。これは東京の人口(2015年8月1日時点 約1,348万人)に匹敵する。
上野では、2015年の春に多くの中国人が上野恩賜公園の桜並木でのいわゆる「爆花見」が話題となった。
花見の時期以外でも広域上野圏では多くの外国人観光客を見かけるが、彼らは何をしに上野に来ているのか調査した。

インタビュー時の条件

地図

広域上野圏の地図とインタビュー場所

インタビュー場所は、上野公園、JR上野駅、上中、アメヤ横町、吉池前、多慶屋前で、広域上野圏の人通りの多い場所をピックアップした。
インタビュー項目は、「どこから来たのですか」「来た目的は何ですか」「他に行った場所はどこですか」「宿泊場所はどこですか」「宿泊日数は何日ですか」「何を買いましたか」「上野を観光先として選んだのですか」の7項目。
調査日は8/31(月)(雨のち曇り)、9/2(水)(雨のち晴れ)の2日間。
インタビュアーは、専修大学ネットワーク情報学部3年、山田紗弥。

上野では爆買いをしていない?

爆買いの定義は、1人で持ち運びできなくなるほどの物を買うこととする。

観光客の荷物

観光客の荷物

調査時は、たくさん物を買っている人は見かけたが、1人で持ち運びできる程度の物を持っている人がほとんどだった。テレビで見かけるような両手に持ちきれないほどの物を買う「爆買い」をしている人は見かけなかった。

何をしに来てるのか?

アメ横と上中の入り口

アメ横と上中の入り口

上野にいる外国人旅行者は何をしに来ているのだろうか。 外国人旅行者11組に「あなたが今回、日本に来た目的は何ですか」とインタビュー調査を行った結果
1位 観光 7組
2位 ショッピング 3組
3位 ゲームセンター 1組
という結果になった。
観光というと、名所などを巡るイメージがあったが、インタビューした外国人旅行者によると、名所を巡るのも、日本食を食べるのも、ショッピングをするのも全て含めて観光だという。
また平均滞在日数は、7.82日で1週間以上滞在する人が半数以上だった。

何を買ったの?

観光の一部で何を買ったのか、聞いてみた。
結果は、食べ物が1番多く、新鮮なフルーツであったり、乾物であったり、お菓子だったり内容は様々だった。そのほか 、服、靴、おもちゃなどを買っている人が多かった。なにか1つの物を大量に買っている姿は見られなかった。

上野の他にどこか行った?

東京の観光名所といえば、東京スカイツリーや浅草寺をはじめとする浅草、かわいい文化の原宿や渋谷、都内の緑を見るならば皇居や代々木公園、明治神宮、テーマパークは東京ディズニーリゾートやお台場、ショッピングなら銀座や新宿がある。

上野の他にどこに行ってきたかあるいはどこに行くのかを聞いた。 浅草が1番多く他には新宿、原宿、月島、築地、ディズニーリゾートという回答を得た。これらは予想できたが、大阪や軽井沢、鎌倉、北海道という回答もあり、スケールが大きくて少々驚いた。 東京も含めた日本全体を観光する人も多いようだった。

選ばれたのは上野だった

ツアーだから仕方なく来ているわけではない

ここで新たな仮説を立てる。ツアー旅行のプランに組み込まれているから、仕方なく来ているのか。
ツアー旅行か個人旅行かを11組中8組に尋ねたところ、全員が「個人旅行」と回答した。

でも上野のホテルに泊まっている人に出会わなかった

上野にあるホテルは、他のターミナル駅(東京や新宿、渋谷、品川)に比べると安い所が多く、上野に宿泊をし、上野を観光しているのでないかという仮説を立て、インタビューをした。
その結果は、浅草、神田、日暮里、新宿、池袋、千葉、埼玉など様々で上野に宿泊している人はいなかった。

このことから、上野に手頃なホテルが多くあるから、またツアー旅行でプランに組み込まれているから上野にいるのではなく、観光先としてわざわざ選んで上野に来ていると言えるのではないか。

上野は観光の街

上野の風景を撮る人

上野の風景を撮る人

限られた貴重な旅行の時間に、なぜわざわざ上野に観光に来ているのか、謎が尽きない。

そこで「なぜ上野を観光しに来たのか。」という質問をインタビューし、4組に答えてもらった。
結果、「日本のカルチャーを見に来た」、「東京を見に来た」、「日本の観光ガイドブックに上野の写真が載っており、それを撮りに来た」、「ゲームをしに来た」という回答を得た。

上野は新宿や渋谷、原宿と並んで観光の街として、肩を並べられるだけの魅力があるということだと言えるのではないか。

上野の街は外国人旅行者をどのように受け入れているのか

免税の看板や垂れ幕

免税の看板や垂れ幕
上野の街の受け入れ態勢

大手ドラッグストア、大手シューズ店、化粧品店、飲食店は日本語、英語、中国語、韓国語の4ヶ国語で書かれた看板を出し対応していた。ディスカウントストアの「多慶屋」ではさらにタイ語の対応もしてあった。上野駅には外国人観光客専用のタッチパネルも用意しており、上野全体が外国人旅行者への歓迎を感じられた。

ただし、外国語対応していない店も多く、それらの店はどうしているのだろうか。上中の和装店に「伝わらなくて困ることないですか?」と聞いてみたが「全く日本語が喋れない人が来て困るが、結局なんとかなる」と言う。対応の様子を見ていたが、身振り手振りと簡単な英単語のやりとりなどで伝わっているようだった。確かになんとかなっていた。

まとめ

上野に来ている外国人観光客は爆買いが目的ではないようだ。日本の、東京の観光地として上野を選んで来ている。なぜ来ているのか私なりに考えてみた結果、上野には上野のカルチャーがり、それを楽しんでいるのだと思う。

私の考える上野カルチャーは、歩いて移動できる距離にいろいろなあらゆる物がごちゃまぜにぎゅっと詰まっているところなのではないかと考える。
魚屋があり、服屋、靴屋、ナッツを売っている店、お菓子屋、八百屋、ドラッグストア、化粧品店、屋台、おもちゃ屋、飲食店、ゲームセンタ、喫茶店などいろいろなものが詰まっているアメ横と上中があり、そこから少し歩けば自然豊かな上野公園がある。
なんでもあって、普通なら近くに並ばないジャンルのものたちがひしめき合って同じところにある風景はとても面白い空間だと思う。

終わりに

この企画をする前は上野についてほとんど知らなかったと言ってもいい。上野に何があるのと聞かれれば、「上野動物園にパンダがいる」とか「美術館がたくさんある」とか「アメ横がある」とかありきたりなことしか答えられなかった。
取材を通して、上野への印象は変わった。いろいろなものがひしめき合う、非日常的な空間を当たり前の日常のように感じられるところが上野の本当にいいところだ。 非日常的だから行って面白いし楽しい。非日常的なのにあまり違和感を感じない。とても不思議な空間がいいところだと思う。

これからの上野の街について考えることは、あまり変わりすぎないでほしいということだ。私は、非日常的なのに違和感があって、でもいろいろなあらゆる物がごちゃまぜにぎゅっと詰まっているところがとても気に入ったので、この部分は変わらずあってほしいと願う。

(山田紗弥/専修大学、西田陽介/上野経済新聞)

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