谷中のアパートで「最初で最後の」アート展-入居していた芸大生らメーンに
今春で取り壊しが決まっている谷中のアパート「萩荘」(台東区谷中3)を舞台に現在、アートイベント「ハギエンナーレ2012」が開催されている。
「ハギエンナーレ2012」に出品する作家たち
築50年以上となる萩荘は、一般の集合住宅として使われてきたものの、2004年から東京芸術大学の学生たちが住居やアトリエとして使用してきた。昨年の震災を受けて、老朽化により取り壊しが決まったことから、萩荘全体を使用したアートイベントを行う。
現在展示を行っているのは、萩荘に居住してる学生や、アトリエとして過去に使用するなどゆかりのあった作家ら17人。出品作家の一人である宮崎さんは「萩荘に住んでいた作家は自分の部屋を使って作品の展示を行っている。展覧会開催期間中も出品作家は増えていき、最終的には20人程度の作家に展示を行ってもらう予定」と話す。
宮崎さんが出品する「最後の住人」は、床を壊し1階と2階をつなげ合わせたスペースで展示するインスタレーション作品。「建築をする際は、上棟式や地鎮祭などの儀式を行うものの、取り壊しの際は何もせず解体する。取り壊しに向けた儀式として、萩荘に一花咲かせることができれば」と宮崎さん。
柱に彫刻を施した作品や天井画、廊下を舞台とした作品なども展示されている。「現状復帰する必要が無いので創作に制約がない。それぞれの作家が自由に制作している」と広報担当で自らも作品を出品する猪股さん。
展覧会の来場者について、「土曜・日曜は約100人に来場いただいている。アートファンだけでなく、近所に住んでいる方も数多い」(猪俣さん)という。かつての萩荘の様子について、宮崎さんは「飲みながら芸術について話し合っていた。芸大生たちがお互いに刺激をし合いながら生活していた」と懐かしむ。
開館時間は11時~18時。月曜休館。入館無料。3月18日まで。