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上野公園のこども遊園地、70年の歴史に幕 正門広場整備工事で

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上野公園のこども遊園地、70年の歴史に幕 正門広場整備工事で

代表の西村さんがかつて上野動物園にいたゾウ「インディラ」をしのんでオーダーした乗り物「空飛ぶぞうさん」

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 上野公園の上野動物園正門前にあった「上野こども遊園地」(台東区上野公園8)が8月31日、閉園した。

閉園のお知らせを伝えるポスター

 同園は、代表の西村真一さんの祖父が1946(昭和21)年に日比谷公園で開業し、約2年後に上野公園へ移転した。「祖父は造船業を営み、公園の池や遊園地内のボートも造っていたつながりで、東京都から『終戦直後で焼け野原になった東京で、子どもたちに夢を』と業務を委託された。その後を母が継ぎ、私も高校生のころから手伝いを始め、大学卒業後から37年間営んできた。補助金をもらっていると誤解される方もいるが、ここは東京都へ地代を払って経営している。地代が値上がりし年間1,500万円となった今でも、無借金経営でやってきた」と西村さん。最初は現在西洋美術館のある辺りで営業し、1957(昭和32)年ごろに現在の場所へと移転した。

 閉園は、東京都が2009年に立案した「上野恩賜公園再生基本計画」による公園整備のため、立ち退きを迫られたことから。「2009年時点ではゆくゆくは立ち退いてもらうことになるかもしれないとのことだったが、時期が未定だった。2015年春の契約更新時に突然1年半後に立ち退いてほしいと言われた」と西村さん。それから何度か都議会へ嘆願書を提出してきたが採択されず、今年7月後半に立ち退きの正式な通知が来て、期日通りに急きょ閉園することとなった。

 園内にはメリーゴーラウンドなど6つの乗り物と、47台ものコイン遊具がある。西村さん自身も子どものころからここで遊んできた。「昔は少しスリルのある乗り物もあったが、小さい子が怖がってしまうので回転するだけのものなどにしていった。ゾウの乗り物『空飛ぶぞうさん』は、子どものころから通っていた上野動物園で好きだったゾウ『インディラ』が亡くなってしまい、それをしのんでオーダーしたもの」と思い出を語る。「みんなに喜んでほしかったので、他の遊園地の半額を目安に価格設定していた」とも。乗り物の料金は1回100円だった。

 「撤収日は決まっていないが、写真は自由に撮っていただいて構わない。今後のことは未定だが、まだ元気なので落ち着いたら新しい事業を始めようと思う」と西村さんは話すが、「乗り物を置ける土地を確保するのは難しいので、もう遊園地はやれないだろう」とも。

 閉鎖後の同園では、名残惜しそうに写真撮影をする人や、閉園を知って残念そうに帰る親子の姿もあった。「今まで事故は一度もないし、乗り物に乗るのに並んでもらうくらいに人が来ていて、こんなに子どもたちが喜んでくれているのに何で、という思いがある」と悔しさをのぞかせる。

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